
(続)通勤手当は、消費税の仕入税額控除の対象となるか(電車・バス通勤者編)
名古屋の税理士 南雲和江です
きょうは、マイカー通勤等の場合の通勤手当の取り扱いに続いて、電車・バス通勤者の通勤手当が、消費税の計算上、仕入税額控除の対象になるかどうかについてお話したいと思います。
役員や従業員に給与とともに支給する通勤手当は、一定の限度額まで所得税が課税されないこととなっていることは、前回 お話しましたね。
平成26年4月1日現在、
公共交通機関で通勤している人に支給される手当が非課税(所得税が課税されない金額)とされるのは、以下のようになっています。
★電車やバスだけを利用して通勤している場合
①通勤のための運賃・時間・距離等の事情に照らして、最も経済的かつ合理的な経路及び方法で通勤した場合の通勤定期券などの金額
②新幹線を利用した場合の運賃についても「経済的かつ合理的な方法による金額」に含まれます。
ただし、グリーン料金は含まれません。
※①及び②の金額が1か月当たり10万円を超える場合には、10万円が非課税となります。
10万円を超えた部分は、所得税が課税されるわけです。
たとえば、浜松の自宅から名古屋の会社に通勤している従業員に新幹線代を 毎月支給している法人があるとしましょう。
浜松―名古屋 間の1か月の定期代は、101,730円ですが、
1か月当たり10万円が非課税限度額ですから、10万円を超えた部分の1,730円につ
いては、所得税が課税されることになります。
他方、消費税法では、「その通勤に通常必要であると認められる部分の金額」は仕入税額控
除の対象になるとされています。
ですから、所得税法の非課税限度額を超えている部分の金額であっても、それが、「経済的かつ合理的な方法による金額」であれば、消費税は、仕入税額控除の対象となるということです。
★電車やバスなどのほかにマイカーや自転車なども使って通勤している場合
公共交通機関を使った上記要件に添う定期代と前回お話したのマイカー通勤などの非課税限度額の合計金額が1か月あたり10万円を超える場合には、10万円が非課税となり、10万円を超えた部分には、所得税が課税されます。
一方、消費税法では、「その通勤に通常必要であると認められる部分の金額」は、全額、仕入税額控除対象となるとされています。
それは、所得税法の非課税限度額を超えている部分の金額であっても、その者の通勤に係る計算が、「経済的かつ合理的な方法による金額」であり、「その者の通勤に係る距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的である通勤経路」によって計算されていれば、消費税は、仕入税額控除の対象となるからです。
このように、電車・バス・マイカー等を複数利用して通勤している場合は、非課税限度額の計算は、複雑になります。
例をあげてご説明したいところですが、ここでは、省略させていただきます。
★パートやアルバイトなど短期間働く人の場合
パートやアルバイトなど短期間雇い入れる人についても、正社員と同じく、月を単位にして計算します。
消費税法基本通達11-2-2《通勤手当》
所得税法9条、所得税法施行令20の2、所得税法基本通達9-6の3