贈与税の非課税枠が110万円になった理由(わけ)!

名古屋の税理士 南雲和江です。

平成26年8月現在、贈与しても税金が課されない金額が、110万円であることは、たくさんの方がご存じだと思います。

でも、贈与税の非課税限度額が110万円になった理由をご存知でしょうか。

いや、決まった時は聞いたような気がするけれど、今は忘れてしまったという方や、考えたこともないという方がほとんどだと思います。

 

日本経済新聞2000年12月12日朝刊の記事(抜粋)によると

自民、公明、保守の与党3党は2000年12月11日、2001年度税制改正の大枠を固めた。贈与税の基礎控除(非課税枠)を現在の年間60万円から110万円に引き上げる。 

与党3党は13日に来年度税制改正大綱を正式決定する。

これに先立つ11日の協議では、贈与税の基礎控除を巡って自民党が120万円への引き上げを提案したが、公明、保守両党が「独身のサラリーマンの所得税課税最低限(114万4,000円)以下にすべきだ」と100万円への引き上げを主張。自民党は折衷案として110万円を再提案し、公明、保守両党は了承した。

 

所得課税最低限=給与総支給額―(給与所得控除額+社会保険料等)  財務省

 

また、当時の内閣府では、贈与税の基礎控除のあり方について発表しています。

贈与税の基礎控除のあり方については、昭和50年以来その水準が据え置かれてきていること、若年・中年世代への早期の財産移転の促進を通じ経済社会の活性化に資すると考えられることから、当面の措置として引き上げてもよいのではないかと・・・中略・・・ なお、相続税や贈与税を検討するに当たっては、親から子供への無償の財産移転は子供の自立を損ないかねないという点に十分留意すべきであるとの指摘がありました。と、

 新聞の記事と内閣府の発表を私なりに解釈すると、約25年にも亘って、ずっと非課税枠が60万円だったことから、そろそろ見直すべき時期にきている上、高齢者が貯めこんでいる財産を若者に移転させることで、経済を活性化させようとの政府の意向を受けて、自民党が120万円までは、贈与税を課さないようにしようと言ったけれど公明党と保守党が、一生懸命働いている独身サラリーマンの 所得税のかからない金額が114万4000円なのだから、働かないで贈与を受けていた者が120万円ももらって税金がかからないなんて不公平だとクレームを付け、妥協の産物として110万円になったと、ま、こんなことだったのでしょうか。

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